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美術コンサルタント
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アートコンサルティング
私たちの暮らしに身近な美術品ですが、ここ数年の美術を取り巻く市況は大きな転換期を迎えています。
草間彌生作品等のコンテンポラリーアートを中に世界的に急激な高騰を見せる一方で、
日本美術史に受け継がれてきた数多くの作家・作品が時代の流れの中で忘れ去られつつあります。
また、企業・法人が所有する多くの名画は活用されることなく、備品として倉庫で保管された状態にあります。
2017年には、神奈川県が所有する作品がカラーコピーにすり替わっていたことが発覚するなどずさんな
管理体制、” 担当者が知らなかった” では済まされない事件や事例も表面化しています。
正観堂は創業以来、美術市場に深く関わって参りましたが、消えゆく作家たちや年々下落していく美術流通を目の当たりにし、管理方法や扱い方も含めたこれからの日本の美術のあり方に危機を感じています。
そこで、京都に創業して30年以上の歴史の中で培った実績と経験を活かし、価値ある美術品の創造や活用についてのアイデアを提案し、暮らしに役立てる美術品の管理ノウハウを総合的にコンサルティングします。
すでに個人コレクターや上場企業様をはじめ、企業マネジメントや旅館業のコンサルタントを手掛ける会社様とも協力し、美術資産の有効的なコンサルティングに満足のいく結果を残しています。
日本の優れた美術品を次世代に伝えることを使命とし、基礎的な取り扱い方や、展示・保管の手入れを含めた
美術品の総合コンサルタントとして、美術商の視点で取り組んで参ります。
美術品の扱いに不慣れな方にも、日常のメンテナンス方法や評価金額の算出方法など
『知ればナットク!』のポイントを丁寧にご説明させていただいております。
美術品は美術館で鑑賞する特別難解なものではなく、
日常生活に溶け込んで感性を豊かにはぐくむ物です。
しかしながら、住環境の変化により、和室や床の間が少なくなり、
掛軸に触れたり日本画・陶芸を身近に楽しむ機会が減っているのも事実です。
受け継いだ美術品や買ったままになっている美術品を『触れて・飾って』楽しむための
基礎的な美術品の取り扱いのポイントをご紹介しています。
美術品の健康管理は、保管する環境からカビ菌や虫などの”生物”を除去することに始まります。
特に美術館などパブリックスペースでは、化学薬品を使用した殺虫剤が絵画を傷める可能性もあるので
近年は薬剤を使わない防虫・害虫駆除の対策が検討されています。
ご家庭や会社で保管の場合は美術館のような本格的な対策は無理として、高温多湿の部屋や、絨毯に直接
絵を置かないこと。
保管場所での飲食は禁止とし、傘など濡れたものを持ち込まないなど『予防医学』を心がける必要があります。
害虫は、紙はもちろん、桐箱の木材を好んで食したり、糊や表具の裂を好む虫など様々でありますが、
風通しの良い比較的乾燥した空間にはあまり生存できません。
①しまい込まずに、できるだけ飾ること。 | 直射日光を避け、空気の通り道にある場所が良い |
②隅のほこりやチリをまめに除去すること。 | 額の表や裏の隅にたまったチリを綿棒などで除去 |
③アクリルやガラスの裏側もふき取ること。 | 結露の発生しやすい時期には特に注意(加湿器のある部屋も) |
この3つを基本としアドバイスしておりますが、他専用のラックやトランクルームの活用もお勧めしています。
万が一シミやカビが発生しても手当てが早ければ重症になることはありませんのでご相談ください。
日頃のメンテナンスをきっちり行い、永年価値を保つ方法をアドバイス致しております。
絵画や陶器を扱う上で最も注意すべきは、「慎重になりすぎると裏目に出る」ということ。
絵画や掛軸をよく白手袋をして扱いますが、滑らせて落とす危険があるので、
慣れない方は多少指紋の跡がついても素手がよいでしょう。
また、割れやすい焼き物は特に注意が必要です。
万が一落とした時のことを考えて必ず低いところで扱いましょう。
壊れやすい部分には触らず、両手で重心を支えて持つことが基本です。
落としたりぶつけたりしない限り簡単に壊れませんが、鑑賞に没頭して
知らず知らずに香炉の蓋や耳付きの耳が外れることもあります。
額も軸も焼き物も、常に最悪の事態を想定しながらより安全を心掛け、
広いスペースでゆっくり取り扱うようにしましょう。
個人や企業の倉庫にお伺いした時に、たくさん美術品があってもひと目見ただけで
大方の見当がつきます。
それは、額のケースの色や、掛軸の外箱の包み紙で一瞬にして嗅ぎ分けることが
できるからです。
日本作家の場合なら、明治であれ昭和であれ、当時から名を馳せた画家の作品には、額や表具店も一流のものが
使用されており、タトウのケースや包装紙のしつらえも非常に丁寧に作り込まれています。
また、古くから作家ごとに注文先のメーカーや流通する経路もほぼ決まっているので
中身を見なくても包装紙やメーカーのラベルである程度真贋も含めて判断できるのです。
一流の作家の作品は、取り巻くすべてが一流でできています。
汚れてきたからといって、包装紙やラベルの付いた茶紙を捨てるのは厳禁です。
オリジナルのままの状態で大切に保管をお願いいたします。
一昔前は目利き主人の言い値でその作品の値段が決まるのが通例でしたが、あらゆる情報が行き交うネット社会の現代では
(特殊な場合を除いて)、流通相場を基に算出された金額で売買の値段が決定されています。
流通相場とは、日本独自のシステムである業者間交換会(非公開)の取引値や一般的なオークションの落札結果から美術品の
相場が形成され、その相場を基に売買価格が決まります。
滅多に出てきませんが、前例のない物や、特殊な大きさ・図柄のものは特別に決める場合があります。
美術品に限りませんが、相場は、需給バランスが作用する為、需要の多い人気作品は必然的に高くなります。
正観堂でも買取の際や販売するときもこのデーターを参考に提示して、売買金額を決定しています。
美術年鑑などに記載されている評価基準として、
「号当たり○○万円」「号単価○○万円」があります。
美術品の値段を決める指標として、公的機関や弁護士も評価額の算出に
使うことがありますが、全く参考になりません。
「号単価=10万円」の作品を例に考えると、10号なら100万円、50号なら500万円の計算になりますが
大きくなれば割安に、小さいものは割高に決められている場合も多く、実勢の価格とかけ離れているのが
実情です。
同じ大きさの作品でも、描かれた年代やモチーフ、出来不出来もあるので一概に評価をするのが難しいです。
それぞれの作品一つ一つに評価が違うので、「号いくら」の基準はあてはまりません。
最も、現在活躍中の作家の場合は『発表価格』として記載されている場合もあります。
当店の簡単査定では、メールやLINEで画像をお送りいただいて評価額をお答えしますが、
厄介なのが工藝画と呼ばれる複製品の存在です。
あきらかな偽物や稚拙なコピー品は画像からでも容易に真贋の判断ができますが、
工藝画というのは特殊印刷の複製品で、お土産や贈答品向けに売られています。
画像で見て本物だと思っても、現物が『あっコレ工藝画』の事例が多いのです。
額縁や、掛軸も本物そっくりの物があり、また外国画の油絵は、ご丁寧に
絵具の表面の凹凸まで忠実に再現され、画像から判断するのが非常に困難です。
ただ、こういった複製品には、額の裏やキャンバスの裏に必ず発行元の
ラベルが貼ってありますので、問い合わせる前に必ず確認してみて下さい。
「知人から父親がもらった」、「企業や銀行が贈ってくれた新築祝の絵」などの
譲り受けた絵はこの工藝画が多いので、特に注意してください。
画像の評価が『一千万円!!』とお答えしても現物見たらはタダの千円でした。
ご所有の美術品の価値を守るため、長期にわたる点検の体制を整え、安心をサポートいたします。
ご自宅の倉庫やトランクルームに保管されている美術品を定期的に管理致します。
一年に一度、保管場所に伺い【定期点検】を行い、レポートにて診断結果の報告書を提出します。
壊れた額の修復や、急なカビ・シミが発生した場合の対処など、丁寧にフォローしていきます。
弊社で一括管理するのではなく、あくまでお客様の自宅や倉庫で立ち合いの下の点検作業ですので、
作品を預ける心配もなく、安心してご利用いただけます。
額装・掛軸・陶芸品・その他工芸品別のチェック項目と、展示や保管場所についての確認事項は
下記の通り。
額装 |
本紙のズレ・浮き・シミ、カビの発生の有無 絵具の変色・チヂミ・剥落、胡粉の剥落等 額装のトメワレ、外装の異常有無 黄袋のシミやカビの発生の有無 タトウ(ケース)のシミやカビ、破損の状況 |
軸装 |
本紙のズレ・浮き・シミ、カビの発生の有無 絵具の変色・チヂミ・剥落、胡粉の剥落等 表具の仕立(天地・風帯・中廻し・一文字・柱の部位) 表具の裏の状態にシミ、汚れの有無 掛け軸の紐のたるみ・がたつき・建付け 軸箱(桐箱)の取り合い、がたつき |
陶芸・工芸 |
陶器のワレ・クラックの有無 黄袋のシミやカビの発生の有無 漆や彫金作品は作品表面の状態 桐箱の取り合い、がたつき |
保管設備について |
湿度・温度の管理状態の確認、調整 |
展示について |
テーマ別、展示方針についての提案 |
※保管環境によってメンテナンス時期が異なります。
※作品の性質や特質・仕様により異なりますので目安にしてください。
額(日本画・洋画・リトグラフ・木版)
近代の額縁は密閉性が高く安全であるが 湿度の多い日本では防カビ対策が重要。 |
10年 リフォーム(アクリル面・マットの交換) 20年 リフォーム(アクリル面交換/裏面張替) 30年 新規交換時期(新しい住設環境に合ったデザイン) |
掛軸(日本画・中国絵画)・屏風
絹や紙などの素材に描かれていることから、 定期的な修復・補強が不可欠である。 |
10年 打ち換え ※ 表具の金襴裂は替えません 20年 打ち換え (本紙のシミ・カビを確認・洗い作業) 30年 新規表装 (表装の劣化更新・補強) |
陶芸・工芸 |
陶器・茶道具などは更新のメンテナンスは必要ありません。 防災対策を含めた保管状況の管理にご注意ください。 |